家のエネルギー源をどうするかは家造りの早い段階で決めなければなりません。具体的には給湯、調理、暖房を全て電気で賄うか(オール電化)、ガスも併用するかです。
私の周りで家を建てる人のほとんどはオール電化を選択し、お得だ安全だと触れまわっています。それは本当なのでしょうか?
我が家はガス併用を選択しています。その理由、すなわちオール電化を採用しなかった理由を紹介したいと思います。
オール電化住宅について
オール電化住宅の普及率
まず最初にオール電化住宅の普及率を見てみます。直近で11.8%、2025年度には17.9%になると予測されています。私が想像していたより低い普及率です。色々な場面で「オール電化」を見聞きしているので、半数は超えていると思っていました。ちなみに都市ガス(47.4%)、LPG・灯油(40.8%)です。
しかし、この普及率は全ての家に対するオール電化住宅の割合なので、最近家を建てた人の割合を見てみます。2015年度に家を建てた人がオール電化住宅を採用した割合は88.2%とのこと。周りで家を建てた人は軒並みオール電化住宅だったので、体感的には納得できます。
このペースで進めば、日本の住宅の半数以上がオール電化住宅になる日がやってくるかもしれません。では、巷でよく言われているオール電化住宅のメリット・デメリットを挙げてみます。
オール電化住宅のメリット
- エネルギー源が一つになるので、光熱費を管理しやすい
- ガス工事や関連機器の費用、ガスの基本利用料金が不要
- 深夜電力の利用により光熱費を圧縮可能
- 太陽光発電の利用により光熱費を圧縮可能
- 火を使わないので安全安心(火事のリスク低減、空気が汚れない)
- 災害時の復旧が早い
- 災害時に貯めていたお湯を使える
オール電化住宅のデメリット
- 初期費用が嵩む
- エコキュートの設置スペースが必要
- 昼間の電気料金が割高
- 停電すると何も使えない
- IHコンロ専用の調理器具が必要
オール電化住宅の粗相を斬る(採用しなかった理由)
オール電化住宅を選択する方は、上記を総合的に考慮して、メリットありと判断するのだと思います。しかし、あまり明確に語られていないものの、オール電化住宅に潜む重大な粗相について切ってみたいと思います。
1 エコキュート問題(湯量、湯の品質、騒音)
オール電化住宅では安い深夜電力を使ってエコキュートという高効率の給湯機で高温のお湯を作り、貯めておきます。魔法瓶のようなものです。お湯を使う時には、その高温のお湯に水を混ぜて適切な温度にします。
私が決定的にNGだったのが、湯量の問題です。深夜に高温で作って貯めていたお湯が尽きた場合、その日はお湯を使えないということです。ある家に家族で泊めてもらった際、入浴中にお湯が尽きて、その日他の人は風呂に入れないという羽目に合いました。同じ家でこれまでに2回も。。あ、妻の実家の話なんですが笑。
妻の実家で暮らす人数に合わせてお湯を作るエコキュートなので、来客時には確実にお湯が足りなくなります。大容量のエコキュートを備えておけば回避できるのかもしれませんが、経済的ではありませんよね。
また、お湯の衛生面にもかなり疑問があります。シェアNo.1のPanasonicのエコキュートの注意書きには、「飲用はおさけください」と書いてあります。飲めないお湯を使って調理することもあるでしょうに。そもそも貯めていたお湯を使うわけなので、いったい蛇口から出たそのお湯はいつ製造されたものですか?と思うのです。
非常時にできること | エコキュート | 給湯・暖房 | Panasonic
更には、近年クローズアップされているエコキュート騒音問題。エコキュートの装置は大抵家の裏手に設置すると思いますが、それは隣家の目の前という可能性が高いです。隣家の目の前にあるエコキュートが深夜に低周波音をまき散らして、隣家の方の睡眠を妨げるという問題で、裁判沙汰になるケースもあるとか。
エコキュートの音、健康被害に関与の「可能性高い」 :日本経済新聞
誰にも迷惑をかけず、綺麗なお湯を、使いたい時に思う存分使いたいと思うのは贅沢でしょうか?
2 深夜電力問題
オール電化住宅のコスト圧縮理論は、深夜の電気料金が安いという制度に支えられています。深夜の電気料金がなぜ安いか考えたことはありますか?
現在の技術では、発電所で発電した電力を貯めておく術はありません。なので、常に電力需要をウォッチして、必要な分だけ発電して供給しています。この技術は凄いですよ。発電量を調整する役割を担うのは、主に火力発電所です。原子力発電所は一度停めるとコストが嵩むので連続運転されています。
しかし、深夜に電力需要が落ちてくると、その調整範囲を超えて電力が余ってしまいます。それで電力会社(と国)は考えたんですね。深夜の電気料金を下げて、需要を掘り起こそうと。私は原発廃止論者ではありませんが、昨今の流れからは今後原発がどんどん増えるとは考えにくいですよね。そうすると深夜電力の優遇も安泰ではないと思うのです。
現に、中部電力のオール電化住宅向けプランを見ると、改悪の兆しがあります。デイタイム(平日昼)、@ホームタイム(休日朝・昼・夕、平日朝・夕)、ナイトタイム(深夜)全ての電力量料金が値上げされています。
~2016年9月30日(Eライフプラン)※新規加入廃止
中部電力|[電灯契約]Eライフプラン(3時間帯別電灯) – 新規加入廃止メニュー
2016年10月1日~(スマートライフプラン)
中部電力|スマートライフプラン – 基本メニュー(電灯契約)
また、深夜電力のコストが低いからと言って、生活スタイルをそれに合わせなければならないのは気に食いません。昼間はなるべく電気を使わないように慎ましく暮らし、洗濯機や食洗機は深夜に動かす。我が家はNGでした。
3 エアコン暖房問題
夏場はエアコンを付けると快適に過ごせますね。しかし、冬場のエアコンってどうですか?中々部屋が暖まらないでしょ?我が家は冬場のエアコン暖房はNGでした。スイッチを入れた瞬間から暖まりたいと思うのは私だけでしょうか。
以前住んでいた家では、冬場は石油ファンヒーターやガスファンヒーター、ホットカーペットを使っていて、エアコンはオフでした。石油ファンヒーターは灯油の補給が面倒だったのですが、ガスファンヒーターは燃料補給が必要なく、スイッチを入れた瞬間から暖かいので、凄く気に入りました。
最後に
オール電化住宅を全否定するわけではありません。風に流されてなんとなくオール電化に決めるのだけは避けてください。ちゃんと考えて、それでもオール電化住宅を選択するならば、それでいいと思います。最後は各自のライフスタイルや価値観に合うかどうかだけですからね。
本当は電気とガスはどちらがお得なのかを検証していたのですが、条件設定が色々ありすぎて挫折気味です笑。ライフスタイルは様々なので唯一の解は無いのだと思います。しかし、自分でも気になるのでもう少し勉強していずれ記事にしたいと思います。
コメント
ドクターMさん 我が家も似たような理由で電気と都市ガスのハイブリッドにしました。
都市ガスがある地域なら、併用が経済的だとワタシも思います。
だいだいさん
コメントありがとうございます。コスト比較は今後検討したいと思います。他所様と比べてないので分かりませんが、我が家の光熱費は高い気がするんですよね…
ドクターMさん 初期コストとランニングコストでトータルコストは都市ガスとの併用のが我が家は安くなるっぽいです。ちょうど1年分のデータは集まり、集計してます。そのうち公開できればと思ってます。
このコメントは読んで削除頂ければと思って書かせていただきます。
余計なおせっかいですが、
記事中のデメリットのところに”停電すると何も使えない”と記載されてますが、残念ながら、
都市ガスもお風呂は電気で制御されている為、お湯沸かす事が出来ないんですよ。
我が家は東日本大震災の時に計画停電で、
石油ストーブしか使えないってのに陥りました。真っ暗なので、キッチンでのプロパンガスの使用も奥さん的にはNGでした。
また、都市ガスはライフラインの復旧に時間がかかると友人からは指摘を受けました。
余計な事ですが、参考にしてみてください。
だいだいさん
貴重なコメント有難うございます。当初、ガスのメリットデメリットやコスト比較についても書いていたのですが、発散してきたので削除しました。その影響でちょっと中途半端になってしまいましたね。
そこではご指摘のように給湯器や暖房も電気がなければ使えないとか、地中の都市ガス管にダメージがあると復旧に時間がかかるとか書いていました。
ちなみに我が家のキッチンはIHを使っています。ガスは夏場に暑いから嫌だと。いや、そこはガスでしょと私は思うのですが笑。
だいだいさんのお宅は震災の影響があったのですね。物的被害は大丈夫でしたか?
電気vsガスのコスト比較について、単価ベースで同じエネルギー値に換算して比較するのはできるのですが、機器ごとの使用エネルギーの時間分布(時間帯による単価の違いの影響)や機器のエネルギー効率まで考慮し始めるとドツボにはまりました。
難しく考えすぎかもしれません。だいだいさんのお宅と我が家の光熱費の比較をやってみたいですね。
ドクターMさん ご返答ありがとうございます。
さすが、改版されてたんですね。すみません、余計な指摘と思いましたが、
経験してるので、コメント書かせて頂きました。
そう、大半が電気で制御して居る為、うちは当時、石油ファンヒーターが主力暖房だったので、酷い目にあった次第です。
奥さんは職場までの電車が途中で休止している為、自宅待機。計画停電中は夜は
真っ暗、なので、LEDランタン1個と石油ストーブの前でじーっとしてたらしいで
す。ワタシは職場の窓から、 第2グループ 18:20~22:00 の時間帯 に真っ暗になる
ブロックを見て、おおぉーーっ と、しかし帰宅時には怖かったですよ、明かりの
あるブロックから、線路を跨いで、真っ暗なエリア、その中を線路沿いに歩く人
や国道は大渋滞、まあ、大変でしたが、人間って忘れるもんですね、今は煌々と
電気ついてますし。
都心に住んでる方は経験されてません、そうピンポイントで計画停電地域に当たっ
た地域が辛い思いをした次第ですが、震災被害にあわれた方に比べればたいした
ことないですね。
ご心配頂き、恐縮です。
我が家ですが、当時は賃貸借家で首都圏でも、比較的、地震の影響は軽微でした。
ちょうど、事業所で仕事していたので、家も近所でしたし、液晶テレビ倒れてたら、でっかいのに買い替えよっとぐらいの
余裕がありましたが、翌週から地獄を見ました、、、(涙)。
地盤の悪い土地を買ってる方々は液状化してエラい事になってるのを見ましたの
で、土地選びは慎重になりましたね。
電気代の比較は今度やらせてください。
我が家は一番低いのは6月で182kwh、高いのは2月で394kwhです。
従量電灯B 60A契約です。
今はエアコンが主力暖房です、高気密住宅の為、石油ファンヒーターは臭くて
使えないことが入居してから解りました、、、、(涙)。
だいだいさん
停電生活大変でしたね・・・
賃貸だったのは不幸中の幸いでした。
電気使用量(うちも従量電灯B60A)を見てみましたが、
最低365kWh(6月)
最高512kWh(4月)
でした。漏電してますかね?汗
4月に何があったのか・・・
しかし年中安定して400kWh台です。
冷蔵庫が古いせいか、IHのせいなのか・・・
冬場はエアコンなしで400kWh台、さらにガス暖房の影響がドカンと来ます。よってトータル光熱費は酷いことになります。
ドクターMさん
コメントありがとうございます。
震災経験はある意味、土地探しや家作りに関しても、従来のワタシの考え方を
根本から、変える出来事でした。
その備忘録がこれからスタートするんですが、、
自分の書き残していたメモやハウスメーカーとの議事録を読み直してるんです
けど、、細かいなぁ~ワタシ(汗)。
ドクターMさま宅の電気代ですが、、
>最低365kWh(6月) ←これは解る気がします。5月~6月は一番使わない時期と
想定されます。
>最高512kWh(4月) ←うーん、謎です。何故4月???
IHはそんなに喰わないと思いますよ、我が家もIHに似た、ラジエントヒーター3
口で(3.0kw 2.0kw 1.5kw) IHと変わらないですから、
冷蔵庫は何年使われてますか? 我が家は新築と同時に変えました。
前に使ってたものは10年前の365リットル
省エネ性能(JIS C:2006)
年間消費電力(50Hz) 360 kWh
年間電気代(50Hz)*2 9720 円
に対して現在のもの2015年製 508リットル
年間消費電力(50Hz) 200 kWh
年間電気代(50Hz)*2 5400 円
半分とは言わないですが、
約44%電力低減になります。
まあ、デカイですよね、技術力の進化ですねぇ。
売る側としては性能44%上がってるんだから、値段も上げたいなぁって思いた
いところですが、市場原理で値段は変わらないか、逆に安くなってますね。
あとは家族構成と家の大きさの違いですかねぇ、
うちは3人構成で、平日、日中は誰も居ません。
東京電力はでんき家計簿ってネットサービスがあります。
中部電力でも類似サービスあれば、試されてみるのが良いと思います。
スマートメーターでしたら、一日の使用量のモニター機能もあり、なにが
電気使用量が多いか、判別できますので、オススメします。
だいだいさん
冷蔵庫は2008年製の380kWh/年でした。しかし、月の消費電力に占める割合は10%未満ですね。
妻に聴取したところ、花粉の季節は除湿機+エアコンの除湿をフル稼働なのだそうです汗
これが4月に山が高い要因かもしれません。土壁効果で除湿機など不要だと思うのですが。
しかし年間通して使うもので消費電力が大きそうなものがよく分かりません。節電意識の低い我が家なので、色々なものが積み重なっているのでしょうが。。ちなみに4人家族で、妻と子供が日中も家に居ます。
中部電力はカテエネ登録(2年契約)すると割引があり、ネットで使用量を確認できます。
スマートメーターは2015年度から順次設置していっているようで、我が家にはまだ来ていません。
設置されると使用電力の時刻歴が分かるようですね。